1999年 3月 28日(土)

 春は旅立ちの季節です。

 新島には高校までありますが、中学を卒業すると約3分の1、高校を卒業するとほとんど全員が進学や就職のために島外へ出て行きます。昨日、私が「モイ」をした里江が京都の大学へ、また隣の家の有紀が都内の高校へそれぞれ進学するために島を離れました。

 「モイ(守)」というのは新島独特の風習で、子供が生まれると子守りをしてくれる「モイ」(小学生〜中学生位の女の子)をきめ、その子が3歳になるまで、昼間はモイの家で預かって世話をします。昔は本当にモイ自身で子守りをしていたそうですが、今は大抵モイのお母さんやお婆さんが面倒を見ます。モイをされる子供は「モイッコ」と呼ばれ、モイとモイッコは兄弟と同じ位近しい親戚として一生関係が続きます。今ではこの風習もめっきり少なくなりました。

 色とりどりの紙テープ、出航の汽笛、ゆっくりと離れていく船体...。船での旅立ちは賑やかだけれど切ない光景です。島では今の時期、毎日のようにこの別れのセレモニーが繰り返されます。                                                                  

                               


  1999年 2月 5日(金)

 今年に入って初めての更新です。

 今日の明け方、雪が降りました。村の中には積もりませんでしたが、山の上と気温の低い山の陰は数年ぶりにうっすらと白くなりました。

 このところ、テレビで雪を見るたびに「本物の雪が見たい!」と言っていた長男の天斗(たかと)は大喜び。雪をかき集めてはうさぎを作ったり、雪だるまを作ったり大はしゃぎでした。

 所々に枯れ葉の混じったあまりきれいではないうさぎと雪だるまでしたが、大事に家に持って帰り、冷凍庫にしまってあります。                              


  12月 14日(月)

 12月5・6日の十三社神社の大祭が終って1週間、未だに島の中は興奮覚めやらず、といった感じでお祭りの話題が飛び交っています。

 お獅子の入った我が家では、家族・親戚十数人が正装をしてお獅子を迎えました。今年は小学生の入った子獅子も一緒です。お獅子が帰ると、1〜6丁目の各町会が踊りを披露するため次々に入ってきます。新島のお祭りにつきものの「馬鹿囃子」や、民謡に合わせての踊りは賑やかで楽しいものでした。

 村の中を練り歩いた山車も町会ごとに工夫を凝らしていて、宝船や竜宮城、「となりのトトロ」のネコバスの形をしたものもありました。左の写真はわが2丁目の力作、宝船と2丁目の子供たちです。

 次回は2001年という噂もありますが、はたしていつになるのでしょうか?                                                                                                                                                                                                                      


  12月 4日(金)

 一昨日、約1ヶ月ぶりに島に帰ってきました。11月27日、無事に男の子を出産。誘発分娩で2日間点滴をしても陣痛がこなかったのですが、3日目にはどうにか兆しが見え始め、陣痛が強くなってから1時間程で生まれた超安産でした(やっぱりすごく痛かったけど...)。名前は晶斗(あつと)に決まりました。

 入院前に前から欲しかったデジタルカメラ(CASIO QV-7000SX)を購入したのですが、思わぬところで役に立ちました。大きな病院だったので、お見舞いに来た人が赤ちゃんを見ることのできる時間が1日に10分間ずつ2回だけしかなく、その時間をのがすと赤ちゃんを見ることができません。時間がずれてしまって見ることができなかった人には、あらかじめ撮っておいたデジタルカメラの映像を見てもらったのですが、動画よりじっくり見ることができるのでなかなか好評でした。上の写真は生後2日目のものです。 

 今、島は12月5・6日に行われる十三社神社の18年ぶりの大きなお祭りにむけての準備で大わらわです。



  11月 5日(木)

 昨日、新島で火事がありました。幸い怪我人はなかったのですが、民家が一軒全焼。消防署の無い島では、消火活動は20代〜30代の一般の男性で組織する消防団が行うので、村内放送で召集がかかると、皆仕事を放り出して現場に向います。一般の人と言っても、都内の消防訓練所や各分団での訓練を行っているので、その行動は頼もしいかぎりです。昨日も30分程で鎮火しました。しかし、昨日は冬場の季節風である西風がそよそよと吹いていて、火種があればまたすぐ大事になってしまいます。現場の管轄の第3分団は朝まで監視していたそうで、本当にお疲れさまでした。

 今日、私は出産のため上京します。ほとんど更新もしないまましばらくホームページをいじれない状況になってしまいますが、ゲストブックに書き込みだけはできるので、そちらのほうで近況報告をしたいと思っています。


  10月18日(日)

 念願のホームページが出来ました。これからできるだけ頻繁に更新しようと思っていますが、あまりマメな性格ではないので、どの程度の頻度になるのか...。頑張ります。

 現在、私は妊娠9ヶ月。大きなお腹を抱え、階段を登るだけでも息切れのする生活を送っています。新島には診療所がひとつあり、毎月の妊婦検診はそこで受けることができるのですが、出産は現在島内ではできません。そのため予定日の1ヶ月〜1ヶ月半位前に島を離れ、島外からお嫁に来た人であれば実家に戻ったり、そうでない人は親戚などを頼ってその近くの病院に通うことになります。なかには島出身で都内やその近郊に親戚もなく、出産までホテル暮らしという人もいます。幸い私は妹が都内で暮らしているので、もう少ししたら夫と子供を島に残して、出産まで東京でのお気楽妊婦生活をおくることができます。

 今日、島で一番大きな十三社神社で社務所の竣工式がありました。これを記念して、今年は18年ぶりの大きなお祭りが行われるそうです。建設工事に関わったということで、私の家には初めてお獅子が上がる予定。これはとても名誉なことで、親戚中が集まってお祝いの席をつくり、正装をしてお獅子を迎えるのだそうです。新島のお獅子はお囃子ではなく木遣り唄に合わせてゆっくりと獅子が舞うめずらしいもので、東京都の無形文化財になっています。お祭りは12月6日。出産予定日は12月3日。出産後1週間で退院として予定日より約1週間以上早く生まれなければお獅子は見れない...。毎日「お願いだから早く生まれてきてね」とお腹に向かって話しかけています。



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